社会保険の適用拡大と「年収の壁」

2022年10月から年金法の改正により一部のパート・アルバイト等方の社会保険の適用拡大が段階的に施行されます。
今回の改正では、企業の従業員数が「501 人以上」から「101 人以上」に、雇用見込期間が「1 年以上」から「2 カ月」にそれぞれ緩和されます。従業員数が 101 人以上の企業においては以下の 4 つの要件に当てはまる方は、勤務先の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入しなければなりません。
これまで社会保険制度が適用されなかった短時間労働者でも被保険者資格を得られる可能性が高くなる半面、扶養内で働くために収入をどれぐらいまでにすればよいか悩んでいる方も少なくないと思います。


社会保険に加入できるようになれば、
◆健康保険(「傷病手当金」、「出産手当金」を受け取ることができる)
◆厚生年金保険(基礎年金に「老齢厚生年金」、「遺族厚生年金」、「障害厚生年金」が上乗せされる)等のメリットが享受できます。社会保険に加入するデメリットとしては、これまで扶養の範囲内で働いていた人にとっては保険料の負担が増えることで手取り額が減ってしまう、将来受け取る老齢年金などの増額に比べ保険料負担の方が大きくなってしまう可能性があるため、労働時間を調整する必要がある方もいらっしゃるかもしれません。

当社の個別相談においても「結婚や出産、介護を機に退職後に扶養内で働く時の収入目安、扶養に入ることができる
か否か」等ご質問をいただくケースもよくあります。夫婦共に「正社員」として働いている家庭ではあまり関係のないことですが、夫婦のどちらかが「パート」や「アルバイト」などで働く場合に注意しておきたいのが「年収の壁」です。扶養控除には、『税制上の扶養』と『社会保険上の扶養』の 2 つがあるため混同している方も多いようです。税制上の扶養控除とは、「所得税や住民税の控除、配偶者控除・配偶者特別控除に関するもの」、社会保険上の扶養控除とは、「健康保険や年金に関するもの」です。
社会保険の「被扶養者」になるかどうかの目安として「130 万円の壁」と「106 万円の壁」という言葉がよく
使われています。以下の表は「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」をまとめたものになります。

「106 万円の壁」は勤務先によって異なるものの今年の 10 月からの改正により従業員数や雇用見込み期間が緩和されています。「年収 130 万円の壁」を超えると社会保険料が差し引かれるため手取りが減ってしまい働き損になるケースも出てくるので、「106 万円」、「130 万円」の壁を意識して扶養内で働くか、年収を 160 万円以上に増やすことを検討する必要があります。今回の改正は短時間労働者の社会保障拡充と将来の年金給付水準を改善する目的があります。今後も改訂される可能性がありそうですので、引き続き注目していきましょう。

引用:厚生労働省 「社会保険適用拡大特設サイト」
   en 派遣 「扶養控除・扶養内について簡単にわかる!年収 130 万の壁って何?