マイナス金利政策解除による住宅ローン金利への影響について

去る3月19日の金融政策決定会合で日本銀行は「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めました。また、同時に長期金利を低く押さえ込むYCC(イールドカーブコントロール)も終了するとしています。

 専門的な話は複雑なので割愛しますが、今回の決定内容を要約すると17年ぶりに市中金利を上昇させる内容となり、日本の金融政策を正常化させる大きな転換と位置付けられます。

今回の決定が私たちの生活に与える影響もあります。代表的なところでは住宅ローンの金利ですね。

マイナス金利政策の解除は、変動金利の基準である短期プライムレートの上昇要因となります。過去の短期プライムレートの金利の推移をご覧いただきます(上表)と、2001年以降ほとんど変化がないことが確認できます。一方で長期金利を基準とする10年固定金利は変動が大きいですね。

2007年以来17年ぶりのマイナス金利政策解除とはいっても、短期プライムレートのベースである無担保コールレート(金融機関同士が短期間で資金のやり取りをする際の金利)を0%~0.1%程度で推移するように促すという内容で、緩和的な金融環境を維持する(金融緩和は維持する)と表明している通り、急激に変動金利が上昇する事はなさそうです。一方で長期金利の上昇はこれまでの推移を見ても分かる通り政策金利の影響を受けやすい固定金利はYCCの解除により上昇傾向がさらに強まるかもしれません。

 変動金利は高くなったら固定金利に変えればいいという話もまことしやかに噂されますが、実際は変動金利上昇の前に固定金利は上がっている可能性があります。したがって、変動金利で契約をしている住宅ローンは金利上昇時に繰上返済で積極的に元本を減らせるような戦略をいつでも採れるように準備を進めていくのが得策でしょう。収支の工夫によって貯金を増やすだけではなく、今年劇的に改善された新NISAを活用した投資戦略など、できる工夫は想像できるのではないでしょうか。

まずは個々人のライフプランを設計し、見直し、その過程で住宅ローンの返済計画と投資戦略を有機的に組み入れることで日々の生活水準を維持・向上させつつライフプランを達成させることは可能なはずです。まずは皆様の会社の福利厚生制度を最大限に活用しつつ、必要に応じて当社のライフプラン、マネープラン相談をご利用いただければと思います。