1990年以来の円安水準のによる影響とこれからについて

先月、マイナス金利政策解除という歴史的なターニングポイントを迎えた日本銀行ですが、4月29日には円相場は一時、1990年4月以来となる一ドル160円台をつけ、同日16時に154円台まで下がるなど日銀の市場介入があったと思われるような動きがありました。関係者は落ち着かないゴールデンウィークとなってるのではないかと思います。
 日本は物価上昇(インフレ)が顕著な環境になっています。インフレはモノの値段が上がる結果、相対的にお金の価値が下がるので為替は円安に動きやすくなります。また、海外では日本の製品が安くなり買いやすくなるので、メーカーなどは輸出が増えて業績が上がると給料も上昇し、さらに物価上昇を起こす要因にもなります。
このように円安とインフレが続くとどうなることが予想されるのでしょうか。
 まず円安になることによって既述の通り輸出関係では利益を得やすくなります。また外貨建ての投資商品を持っている方にとっては資産価値が増えることになります。一方で、輸入品が高くなるので海外の商品を買いにくくなったり、海外旅行に行きづらくなるというデメリットもあります。
 少子高齢社会化している日本は社会保障費に国費の多くが割かれ、赤字国債が増加しています。財政悪化は円安の要因となりかねません。私たち個人レベルで出来る対策は何があるのでしょうか。

 今後も円安が続くなら、これからでも少しずつ外国株式や外国債券などの投資信託、外貨預金を積み立てるのが良いでしょう。外貨建ての保険も投資信託と比べると利殖性に劣るもののリスクが制限されるので円安対策の一つとなりますね。保有資産に余裕のある方は金に代表されるコモディティ投資も検討してみるといいでしょう。
 また、国内製品は円安の影響を全く受けないわけではありませんが、原材料や製造過程のすべてが海外ではないため比較的影響を受けにくいので買い物をする際は国内製品に着目してみるのもいいと思います。

 賃金が上昇し、物価が上昇するのは「良いインフレ」と言われます。
良いインフレがあるなら悪いインフレというのもあります。これは景気
後退局面なのにインフレが続く現象(スタグフレーション)です。
 過去にも1970年代初めの第一次オイルショックで日本はスタグフレーションを経験していますが、今もそれに近い状況になりつつあると警鐘を鳴らす専門家も少なくありません。私たち個人で、もしもスタグフレーションが起こった時のための取れる対策としては、本業で給与を上げるだけではなく、やはり、投資の力で資産価値を保全する工夫をすること、会社の規定で許されるなら副業等で副収入を稼ぐこと、ということが挙げられます。
 日本国政府や日本銀行だけではなく、私たち一人ひとりビジネスパーソンが試される状況になりつつあるのかもしれません。

2024年のゴールデンウィーク、皆様はどのようにお過ごしでしょうか。わたしはカレンダー通りの休みとなり、前半は相談対応(仕事)を挟みつつ、家でゆっくりと家族で過ごしました。後半の休みは少し車で遠出をしつつ、レジャーを楽しみたいと思っています。円安にインフレと経済の動きは気になりますが、休める時はしっかり休みたいですね。(株)FPコンサルティング 塩見 太郎