令和4年度税制改正大綱~贈与制度の動き~

「令和4年度税制改正大綱」が発表

2021年12月に「令和4年度税制改正大綱」が発表されました。前年の税制改正大綱において、“資産移転を公平にすべき”という観点から「暦年贈与の見直しと廃止」、「相続税と贈与税の一体化」、「生前贈与の持戻期間が3年から延長」等が言及されたことで、贈与制度の改正が注目されていました。
「暦年贈与」とは・・・毎年1月1日から12月31日までの1年間(暦年)の贈与額が110万以下であった場合に、贈与税がかからないというしくみを使った贈与の方法 【相続税対策の王道!】
「相続税と贈与税の一体化」とは・・・『相続で財産を渡しても、贈与で財産を渡しても、かかる税金の金額を同じにする』という税制改正 【相続税・贈与税が一体化されてしまうと、生前贈与による節税ができなくなる】
「生前贈与の持戻期間が3年」とは・・・「生前贈与から3年以内に亡くなった場合、『相続又は遺贈により財産を取得した人→将来、相続人になる人への贈与に対し、相続税の計算上3年以内に贈与した財産も加算して相続税を計算する 【相続開始直前の駆け込み贈与を防ぐためのルール】

今回は具体的な改正は見送られたものの、今後の改正について税改正大綱に明記されていたことをまとめてみました。
~「令和4年度税制改正大綱」の中から一部抜粋~
今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時清算課税制度と暦年課税制度のあ
り方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

現行:【生前贈与の3年内加算ルール】

日本では持ち戻し期間は3年間なのですが、アメリカでは一生涯、ヨーロッパでは7年~15年と長く、諸外国と比較すると日本の現在の税制は優遇されているのかもしれません。この点について見直される場合、贈与の持ち戻し期間が延長される、もしくは一生涯さかのぼるアメリカ方式が導入される可能性があるといえるでしょう。現行制度では、相続人に対する贈与に限定されていますが、孫や曾孫に対する贈与による節税対策も持ち戻しの対象になる可能性も・・・
注)贈与税を既に支払っていて3年以内に相続が発生した場合、二重課税を防ぐため相続税から贈与税を差し引き最終的に納税する形になる

現行:【相続税と贈与税は別々の制度】

日本の相続税と贈与税は別々の制度として独立しており、贈与税は高めに設定されています。アメリカやヨーロッパでは、贈与で財産を渡しても、相続で財産を渡しても、最終的には同じ金額の税金になる仕組みになっているため、日本も同様の制度の見直される可能性があるのではないか捉えられるでしょう。

現行:【相続税と贈与税は別々の制度】

相続時精算課税制度は60歳以上である父母または祖父母から相続発生までに2,500万円以内の金額であれば、非課税税で贈与できる制度です(贈与税は非課税、相続発生時に相続財産に加算される課税される→税金の先送り)
暦年贈与税制を廃止し、贈与はすべて相続時精算課税とする可能性があり、贈与時は税金がかからなくなる一方で相続時にすべての贈与を含めて課税する②の「相続税・贈与税一体化」が導入されるという改正も考えられます。
相続税と贈与税が一体化されることでこれまでの相続対策方法が大きく変わります。今後の改正に注目していただき、相続・贈与についての個別相談も是非ご利用いただければと存じます。

引用:税理士法人トゥモローズ 「令和4年度(2022年度)税制改正 贈与税はどうなった? 相続関係の改正内容を速報解説」